歴史と由来
岩手県は、古くから豊かな漁場として知られてきました。特に、さんまの海面漁業の漁獲量は本州一を誇ります。以前はすり身はイワシで作り、さんまは塩焼きや塩炊きにして食べていました。しかし、60年ほど前からさんまの漁獲量が増え、さんまをすり身にして汁物として食べるようになりました。しかし近年は水揚げ量が減少傾向にあります。
「さんまのすり身汁」は新鮮なさんまのすり身を団子にして入れた汁物料理で、すり身に練り込んだ調味料とさんまの旨味が汁に溶け込んだ素朴な味わいが特徴です。三陸沿岸部では、さんまが出回る時期の定番家庭料理として広く愛されています。
作り方
おろしたさんまをすり鉢ですり、味噌、卵、塩、しょうゆ、酒で味付けします。沸騰させた鍋ですり身を団子状にして煮た後、大根、にんじん、ねぎ、豆腐を入れて柔らかくなるまで煮ます。味付けは味噌の場合と、しょうゆの場合があります。仕上げに麹なんばんを加えると、生臭さを消し、ピリッとした辛味が加わってさらに美味しくなります。