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南部せんべい

(なんぶ)

噛めば噛むほど素材のおいしさが広がるおせんべい

南部せんべいは、約600年前に南部地方を訪れた長慶天皇に、地元の武士がソバ粉を練り、黒胡麻をまぶして焼いたものを献上したのが始まりです。

たっぷりの黒胡麻をまぶした「胡麻」は、南部せんべいの元祖です。また、「胡麻」と並んで昔から親しまれている「落花生」は、香ばしさとほんのりした甘さが特徴です。どちらも子供からお年寄りまで人気があり、噛めば噛むほど素材のおいしさが広がります。

貴重な保存食

南部せんべいは、旧南部藩の領地だった青森県南東部から岩手県北部にかけての伝統食品で、小麦粉に塩と水を混ぜ、鉄製の型で丸く焼いたものです。戦前は、多くの農家が鉄製の型を持っており、冷害が多く米が取れなかった地域の貴重な保存食でした。

作り方

南部せんべいは、小麦粉を水で練って円形の型に入れ、堅く焼いて作られます。縁に「みみ」と呼ばれる薄くカリッとした部分があるのが特徴で、保存性は非常に良いですが、時間が経過すると酸化により味が落ちます。通常は10~20枚程度を1つの袋に入れた簡素な包装が多いです。

近年はバリエーション豊富

青森や岩手の旧南部氏支配地域では非常にポピュラーな食べ物で、来客にも供されます。通常の「白せんべい」の他に、ゴマ、クルミ、落花生などを加えて焼いたものもあります。また、同じ材料で厚めに焼き、柔らかく仕上げた「てんぽせんべい」もあります。

近年では、イカ、カボチャ、リンゴ、ココアなどのバリエーションも豊富です。ただし、スーパー等で売っているのは主にゴマと落花生の二種類で、他の種類はメーカー直営店や土産物屋、南部せんべい専門コーナーでしか入手しにくいです。地域によっても味が微妙に異なります。

せんべい汁

青森の南部地方と岩手県北地方では、醤油仕立ての汁にせんべいを加えた「せんべい汁」という料理があり、寒い時期の定番料理として広く親しまれています。煎餅を煮込んで柔らかくすると、すいとんに似た味わいになります。汁に入れても煮くずれしにくい「おつゆせんべい」または「かやきせんべい」を使用することが多いです。

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名称
南部せんべい
(なんぶ)

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