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岩手県産 ほや

(いわてけんさん)

海のパイナップル!見た目より味わい深い夏の味覚

岩手県三陸の夏を告げる旬の食材といえば、なんといっても「ほや」です。その見た目から「海のパイナップル」とも呼ばれるほやは、磯の香りと甘み、苦みが混在する独特の風味が特徴です。

ほやは、消化吸収や疲労回復に効果的なグリコーゲンを豊富に含んでいます。そのため、東北地方では古くから夏バテ防止の食材として親しまれてきました。

ほやの食べ方は様々です。最も一般的なのは、刺身です。ほやの岩についている方を切り、体内の海水を出し、二つに割って皮を剥いて内側のワタなどを出します。そして、取り出した海水と共に頂きます。

二杯酢でいただく酢の物や塩辛も定番です。また、レモンなどの柑橘類にも良く合い、焼くと渋みも旨味も濃厚になり、独特の風味が増します。さらに、からからに干したチップスも名産です。

岩手県では、マボヤが養殖され、夏場を中心に出荷されています。養殖ほやは、天然ほやに比べて身が大きく、甘みも強いのが特徴です。洋野町では、「南部もぐり」と呼ばれる潜水夫が海底からホヤを一つひとつ手で採取する天然ホヤ漁も行われています。天然ほやは、養殖ほやに比べて身が締まっており、磯の香りが強いのが特徴です。

ほやの旬は、5月から8月までです。特に、6月から7月にかけて最も美味しくなります。

ホヤ:海のパイナップルと呼ばれる奇妙な生き物

ホヤは、2000種以上も存在する尾索動物亜門ホヤ綱に属する海産動物です。奇妙な形をした生き物で、その形から「海のパイナップル」とも呼ばれ、日本では古くから食材として親しまれてきました。

ホヤの生態

ホヤは、幼生時代にオタマジャクシのような姿をしていて泳ぎ回ります。成長すると海底の岩などに固着して、植物と誤認されるほど特異な外観を持ちます。成体には脊索動物の特徴である内柱や鰓裂、心臓、生殖器官、神経節、消化器官などがあり、見た目は植物のようにも見えますが、れっきとした動物です。

ホヤは単体で生活するものと、群体で生活するものがあります。単体ホヤは有性生殖で、群体ホヤは有性生殖と無性生殖の両方を行います。餌はプランクトンやデトリタスです。世界中の海に生息し、潮下帯から深海まで広範囲にわたります。多くのホヤは植物プランクトンやデトリタスを餌としています。

名称と由来

漢字では「老海鼠」、「富也」、「保夜」などの表記が古くからあります。「ホヤ」という名前は、「ランプシェードに当たる火屋(ほや)に形が似ている」ことや「ヤドリギ(ほや)に形が似ている」ことからきています。特にマボヤは「海のパイナップル」とも呼ばれます。

ホヤの栄養

ホヤは日本、韓国、フランス、チリなどで食材として利用されています。その独特な海産物らしい香りと豊富なミネラルが特徴です。ホヤは、亜鉛、鉄分、EPA(エイコサペンタエン酸)、カリウム、ビタミンB12、ビタミンEなど栄養素が豊富です。特にマボヤとアカホヤは、旨味成分であるグルタミン酸と5'-GMPを多く含んでおり、味わい深い食材として知られています。

ただし、一部のホヤはミネラル分が多すぎて食べると内臓に悪影響を与えるため、「毒ホヤ」と呼ばれています。

日本での食用

日本では主にマボヤ(Halocynthia roretzi)とアカボヤ(H. aurantium)が食用とされています。特に東北地方北部沿岸の三陸地方でホヤの食用が広く行われ、宮城県の石巻漁港などで酒の肴として親しまれています。北海道でもホヤの食用は一般的ですが、アカボヤの流通は少ないです。

ホヤは独特な磯の香りと風味があり、好き嫌いが分かれる食材ですが、近年では東京圏でも徐々に人気が高まっています。中部地方以西や西日本ではまだほとんど流通していない地域もあります。

調理法

ホヤを調理する際には、ワタと呼ばれる肝臓や腸に独特の匂いがありますが、愛好家はこの匂いを好みます。ワタを取り除いて調理すると匂いは抑えられます。

刺身を作る際にはホヤ水を使って身を洗ったり、ワタをホヤ水に溶かして食べることもあります。新鮮なホヤはあまり臭わないですが、時間が経つと独特の臭いを発することがあります。鮮度を保つためには冷たい海水に浸しておくと良いでしょう。

ホヤは刺身、酢の物、焼き物、フライなどさまざまな料理に調理され、塩辛や干物にも加工されます。塩辛にしたホヤを「莫久来(ばくらい)」と呼ぶこともあります。

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岩手県産 ほや
(いわてけんさん)

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