県北地域の豆腐文化
県北地域は冷涼な気候で米が育ちにくいため、厳しい気候でもよく育つ大豆を生産してきました。栄養に優れた豆腐は「畑の肉」とも呼ばれ、重宝されてきました。
昔は家庭で豆腐を手作りする習慣があり、大量に作った豆腐は近所でやりとりするなど、食べる機会が多く、手作り豆腐文化が根付いています。
手作り豆腐は煮物、汁物、白和え、鍋など様々に調理され、冬には凍り豆腐にして春まで食べ続けたとされます。現在でも、岩手県は一世帯当たりの豆腐消費量が多く、豆腐をよく食する地域です。
豆腐田楽の特徴
「豆腐田楽」は、硬めに作られた木綿豆腐を長方形に切り、竹串に刺して炭火であぶり、主ににんにく味噌を付けて食べるものです。焦げ目の香ばしさとにんにくの香りが楽しめます。串は、はじぎ(ミツバウツギ)の枝で作ることが多いです。味噌に入れるものは季節により変化し、にんにくは主に冬、春はばっけ(ふきのとう)、初夏には山椒の葉などを入れて食されます。大根おろしと一緒に食べると消化に良いとされます。
行事の際にごちそうとして作られた
行事の際にはごちそうとして豆腐が手作りされ、煮しめなどとともに「豆腐田楽」が作られていました。また、12月の「大黒様の年越し」と呼ばれる行事には、数多くの大豆料理を供える風習があり、「豆腐田楽」はその献立の一つだったと言われています。お花見の時期に山椒入りの味噌を使った豆腐田楽を「木の芽田楽」と称して提供する店もあります。