つるつるとしたのど越しと、噛みごたえのある麺
盛岡冷麺の麺は、スパゲッティなどのパスタと同様に押し出し機を使って作られます。生地を押し出し機に仕込み、強い力を加え麺の太さに合わせた穴から押し出すことで、この際に麺が高温になりアルファ化するために強いコシのある麺に仕上がります。盛岡冷麺は小麦粉と澱粉を使うことが特徴ですが、製品開発により混練法で冷麺を製麺する製麺所もあります。
盛岡冷麺の付け合わせ
盛岡冷麺は付け合わせとして果物が載せられる場合が多く、リンゴ、スイカ、梨など季節ごとに旬の素材を用いるのが一般的です。また、盛岡で冷麺の辛みとして合わせるキムチは主に大根キムチ(カクテキ)です。辛みの程度は数段階(辛みなし、弱、中、強)から選べ、冷麺とは別の皿で出す「別辛」を選ぶこともできます。
盛岡冷麺の歴史
盛岡冷麺は1954年、朝鮮半島北部の咸興生まれの在日朝鮮人1世の青木輝人(楊龍哲)が盛岡で「食道園」という店を開業し、そこで冷麺を提供し始めました。子供のころに食べた咸興の冷麺を独力で再現しようとしました。
当時はまだ馴染みのなかったコシのある麺や辛いキムチは受け入れられなかったものの、徐々に改良を重ね、現在の盛岡冷麺の形になりました。青木輝人は
麺の改良
当時はコシの強い麺や辛いキムチの馴染みが薄く、麺は「ゴムを食べているようだ」などと受け入れられませんでした。そこで麺の生地を蕎麦粉から小麦粉に変え、見た目を白くしました。一方、ジャガイモのでんぷんを使ったコシの強い麺やキムチのトッピング、牛骨ダシ中心の濃厚なスープという「故郷の味の3要素」は守り続けました。
「盛岡冷麺」の誕生と全国的展開
1979年に開業した「焼肉ガーデン ペコ&ペコ」はメディア広告を使い「冷麺」を宣伝し、岩手県内に知れ渡りました。1987年には在日2世の邊龍雄が「ぴょんぴょん舎」を創業して「盛岡冷麺」の名称を初めて使用しました。徐々に「盛岡冷麺」の名が市民に浸透し始め、全国的にも知られるようになりました。
朝鮮半島の冷麺との違い
盛岡冷麺の麺はジャガイモのでんぷん中心で透明感があり、平壌冷麺の蕎麦粉主体の麺とは異なります。また、盛岡冷麺はコシの強さが特徴で、咸興冷麺に近いです。盛岡冷麺は咸興の水冷麺に、キムチの辛さを加えたものといえます。
盛岡冷麺を楽しむ
盛岡冷麺は、焼肉店をはじめ、多くの飲食店で味わうことができます。また、盛岡市内には冷麺専門店も多く、それぞれのお店でこだわりの味を提供しています。