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ひえ

(稗)

お米に混ぜて炊くだけで、自然な栄養をプラスする高機能食品

岩手県は、雑穀生産量日本一の豊かな自然に恵まれた土地です。中でも、ひえは国内の生産量の約90%を誇り、岩手県の特産品として広く知られています。

かつて、米がとれない寒冷地では、ひえが主食として食べられていました。滋味深い味わいが特徴です。近年、健康志向の高まりとともに、ひえは再び注目を集めています。白米に混ぜて炊いたり、雑穀米として、またはおやつやパンなどの加工食品としても利用されています。

イネ科のヒエは栄養価が高いことで知られ、特にビタミンB1が豊富で、たんぱく質・ミネラル・食物繊維も多く含まれる健康食品です。ヒエ玄穀は、玄米の約2倍のビタミンB1を含むなど、白米よりも栄養価が高いです。お米にヒエを2~3割混ぜるだけで、栄養価を大幅に向上させることができます。

さらに、ヒエをリジンを多く含む食品と一緒に摂取すると、タンパク質のアミノバランスが良くなります。また、ヒエには抗酸化フラボノイドのルテオリンが含まれており、アレルギー性疾患に効果があるとされています。

栽培の歴史と文化

ヒエは、畑でも水田でも栽培することができます。日本では、縄文時代の前期から冷涼な北海道と東北地方で栽培され、近現代でも明治までは東北地方の山間部や関東地方の畑作地帯などをはじめ全国的に主食用として栽培されていました。

青森県の弘前周辺のような穀倉地帯では、普段より白米が食されていましたが、より冷涼な下北半島では水田でイネだけではなくヒエも栽培されており、1890年(明治23年)の統計では、その比率は稲田:2に対し稗田:8の割合であったそうです。

現在は住宅地になっている東京都杉並区では大正期から少しずつ蔬菜の栽培が増加し、都市近郊の野菜栽培農家に転換しましたが、それ以前はヒエなどの穀物を栽培し、日常食はヒエとムギで、米は少し入れる程度であったそうです。

南多摩郡でも商品作物であるサツマイモとジャガイモが増加し、1935年(昭和10年)の作付けの統計ではヒエは姿を消したそうです。

また、岩手県の県北地方でもヒエの栽培が盛んで、南部盆歌に「南部よいとこ 粟めし稗めし のどにひっからまる 干菜汁」と唄われたそうです。

栄養満点で環境にも優しいスーパーフード

ヒエは、栄養価が高く、冷害や乾燥にも強い作物です。近年、健康志向の高まりとともに、ヒエの需要が高まっています。

ビタミンB1: 糖質のエネルギー代謝を促進し、疲労回復や集中力アップに効果が期待できます。
タンパク質: 良質なタンパク質は、筋肉や骨、皮膚などの形成に役立ちます。
ミネラル: カリウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルがバランス良く含まれています。
食物繊維: 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を豊富に含み、便秘解消や腸内環境改善に効果が期待できます。
抗酸化物質: ルテオリンなどの抗酸化物質が豊富に含まれ、老化防止や生活習慣病予防に効果が期待できます。

Information

名称
ひえ
(稗)

花巻・遠野

岩手県